2009年03月10日

食品添加物について


「食品の裏側」で60万部のベストセラーを記録した安部司氏が新たな本を出した。

題名は「なにを食べたらいいの?」(新潮社)

安部氏は「食品の裏側」で食品添加物の危険を指摘したのだが、販売部数から考えると食品添加物のみならず食品分野全体の中で最も多く読まれた本となった。

同じ食品分野でベストセラーとなった「食べるな!危険!」でも30万部なので、「食品の裏側」がいかに売れているかがわかる。

いわば、日本人の食品に関する本の代表、食品分野のバイブルと言ってもいいだろう。

ただその内容はというと、僕が再三指摘しているように、
重要な部分で事実誤認があり、強い思い込みによって書かれた偏った内容と言っていい。

皮肉な言い方をすれば、だからこそ不安を感じてる人々のハートに強く訴えるものがあったのだろう。


さて、新著の「なにを食べたらいいの?」

相変わらず食品添加物を批判するスタンスを維持しつつも、前著とは大きくトーンが変わっている

食品添加物の「おかげ」の部分を多く取り上げることにより一定のバランスを保ち、かつ消費者自身への批判がしっかり書かれている。


共感できる部分は、「食品添加物は縁の下の力持ち」と表現し、人々が買い物をする時に選ぶ
「安い」「簡単」「便利」「美しい」「おいしい」を実現できるのは食品添加物のおかげである、とするところ。

さらに、消費者を「意識は高く行動は低い」と表現。

誰もが「無添加がいい」といいつつ、無添加によって値段が高くなったり、日持ちが悪くなったり、色形が悪くなったりすることがわかると、やっぱり添加物入りを買う。

結局提供される食品に対しての批判精神は強いものの、自らは便利さを求めてすすんで添加物がたくさん入った食品を利用しているということ。

前著が食品メーカーがいかに消費者を騙して、危険な食品を提供しているかという主旨だったのと比べると、非常に大きな変化といえる。


ただ、一方食品添加物そのもへの批判も前著と同じように展開している。

最も気になるのが、食品添加物の危険性を指摘する時に
「〜〜〜との指摘も出ている」
「〜〜〜との研究結果がある」
ということが並べられていることだ。

これだけを読むと、いかに恐ろしいものか、という印象を受けるものだ。
しかし、これは意図的にそういった内容だけのものを取り出して書いているにすぎなく、「安全だ」という「指摘」や「研究結果」がはるかに多いのである。

科学者、研究者はそれこそピンからキリまでいて、中にはズサンな実験、著しい矛盾を持つものを発表して平然としている者もいる。
多くの科学者が認めている「知見」としては、食品添加物は完全とは言えないまでも、非常に厳しく毒性が調べられているため、許容数値以下での使用であれば問題ないということだ。

もちらん、現在の科学も決して完全ではないし、少数派が正しい場合もある。
著者が指摘するように、単品では問題なくても複合的に摂取した場合はとどうなるかわからない面はある。

しかしそれをいうなら、天然物も複合的に摂取した場合の影響はより以上にわかっていない
天然物は太古の昔から摂取しているから心配ないというなかれ。
現在摂取している「天然物」は時を追うごとに大幅に品種改良されている。
生育環境による変異のこともよくわかっていない。

ましてやそれらを摂取し続けて100年にどう影響が出るかもわかりようがない。

毒性が調べられている化学物質より、調べられていない天然物のほうが恐ろしいことは多くの科学者の一致するところだ。



また、著者は食品添加物によって、本来甘ったるくて飲めないようなものがおいしく感じてしまう。
しょっぱくてマズイはずのものもおいしくなる、ということを指摘し批判している。
さらに、食品添加物によって
「味覚が壊れて、本来の味の良さがわからない子供が増えている」
「出来合いの食品が増え、親が調理に手を抜くために、親子関係が希薄になる」
などの問題点を指摘している。

確かに、言っていることは正しいと思うが、これは食品添加物のせいではない。
むしろ「おかげ」の恩恵を受けていながら、それを有益な方向に活用していないことが問題なのである。

著者もわかっていることと思うが、日本人の食生活がおかしくなっているのは食品添加物のせいではなく、我がままで楽を求める消費者のせいである


食品添加物は、取らないで済むものは取らないに越したことはない。
しかしまさに人々のニーズに応えることによってその消費量が増えたということは、恩恵の部分が大きいということは言うまでもない。

ただ感情的に批判だけして、自分は被害者のようにしているのではなく、食品添加物の功罪両面をよく知って自らがどうするか冷静に判断することが必要と思う



posted by ebochin at 09:21| Comment(47) | TrackBack(8) | 食品の安全

2008年11月30日

食品のムダ

僕は、「食品の無駄」は食品の安全と偽装などと同じぐらい重要な問題だと思う。

「フードバンク」では、余剰食品を食べ物として有効に活用し、生活弱者を支援するボランティアを行っている。
ホームページ⇒フードバンク関西

コンビニなどで大量に捨てられるお弁当や総菜類。
そのほとんどは、賞味、消費期限切れ。

「消費期限」切れは衛生上の問題があるので、やむを得ないにしても、
「賞味期限」切れは本来の味や食感が落ちる程度の期限なので、有効活用するべきもの

しかも、メーカーは絶対に品質問題を起こさないために、例えば90日日持ちすると判断しても、実際には60日ぐらいに設定するように大幅に余裕を持っているのが通例。

しかしそれでもコンビニ、スーパーは「フードバンク」に対して余剰食品を渡さず、廃棄するほうを選ぶ

なぜなら、万が一でも食中毒を起こすことを恐れているためだ。


横浜の「さなぎの食堂」では、コンビニから賞味期限3時間前(コンビでは安全面を考慮し、3時間前に店頭からはずす)に弁当などの食材を毎日もらってきている。
そしてそれを改めて調理してボリューム満点の300円の定食を出している。

「フードバンク」と「さなぎの食堂」の違いは、前者はいつ食べられるのかわからないのに対して、後者は、食される場所と時間がわかっていることと、万一食中毒が起こったときの責任の所在も明確だ。

しかし僕は「フードバンク」の場合でも有効活用するべきと考える。

もちろん問題が起こったときは食べた本人の責任だ。
その食品を提供する側は、賞味期限などの履歴は正確に伝える必要はあるだろう。

本来人間には食中毒の起こるものを食べない防御本能が働くもの。
臭いや味で判断できるものだ。

獲れた魚や野菜・果物に賞味期限があるかといったらない。

もともと企業が調理加工しないものには賞味期限などなく食べている。
それで何も問題はないのだ。

世界的に見れば豊かな日本でも明日の食べ物にも困っている人は大勢いる。
年収200万円以下の人は1000万人以上いるがこの人たちは、できうる限り食費を切りつめたいはずだ。

お金持ちと供給者の論理だけで、厳しい規格と賞味期限をクリアーした食品だけが並ぶのはおかしい。

規格外でいいから安いものが欲しい人にも選択の自由を与えるべきだ。

規格外品の多くは廃棄されるものなので、ただ同然のものも多い。

廃棄されれば、燃やすことにより大気がよごれるし、灰もどこかに捨てられる。
廃棄費用を惜しんだ違法投棄も後を絶たない。


現在は、
「安全のためにはコストをおしまない」
「安全が保障されたものじゃなきゃ食べられない」
といった意見が主流だが、
この考え方は、非常に無責任で不勉強な考え方だ。
なぜなら、とてつもない無駄とコスト高を生み、ひいては精神的荒廃を生む。

「もったいない精神」は、経済的に助かるだけでなく、心の問題にも良い影響を与える。さらに所得の再分配機能を持つことにつながる。



世界に広がっているという日本語「mottainai」
世界一もったいないことをしている我々としては恥ずかしい限りだ。
posted by ebochin at 17:21| Comment(1) | TrackBack(0) | 食品偽装

2008年11月16日

うなぎの偽装で逮捕者8名

昨日、中国産ウナギ蒲焼を国産の「一色産」と偽装した事件で、関係者数名が逮捕されました。

逮捕状がとられたのは、以下の8名。

「魚秀」・・・社長、福岡営業所長
「神港魚類」・・・元担当課長
「土佐海商」・・・元専務ら2人
「大洋水産」・・・元専務とその弟
 東京都の商社社長

報道されている事件の概要は、

今年1月に「魚秀」福岡営業所所長と「神港魚類」元担当課長が偽装を発案。
「魚秀」社長が「土佐海商」元専務に話を持ちかけ、具体的方法を計画。

中国産のウナギ蒲焼256トンを「大洋水産」工場内で「一色産」の箱に詰め替え偽装。
発覚しにくくするために、伝票の経路を「魚秀」から東京の商社2社を通し、「神港魚類」に販売した。

「魚秀」の利ざやは3億3千万円。この中から「土佐海商」に1億円、「神港魚類」元担当課長に1000万円、東京の商社2社に計4000万円が支払われた。


首謀者とされる3,4名は僕も以前からよく知っているので、本当に残念で複雑な気分です。

許されないことを悪質な手口でやったのだからこうなるのも当然ではあります。
しかし、そう思う反面、他の同様の犯罪との比較でいえば、非常に重い刑、重い社会的制裁を受けることになるような気がします。

逮捕者がいままでになく広範囲であることも特徴です。

これは一つの時代の大きな変化だと思います。

昨年まではほとんど「ヤリドク」だったのは事実ですが、今はもうそれでは済まないことを、業者もしっかり認識する必要があるでしょう。

こういったことは、当然のことながら、偽装に対する抑止力として働くと思うので良いことと思います。

ただし、捜査方法も刑罰も、世間をどれだけ騒がせたかによって大きく変わってしまうのはよくありません。
それは報道の仕方によることだからです。
行った事実、意図、計画性、規模、常習性、地位などで公平な判断をして欲しいと思います。


罪は今回の不正競争防止法違反ですと、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金
上限の量刑が不正競争防止法の2倍の詐欺容疑でも捜査するようですが、単なる偽装表示の場合はその立件は難しいようです。

その後の態度が悪質でない限り、実刑にはならないと思うのですが、どうでしょう。

いずれにしても、早く罪を償ってほしいものです。
posted by ebochin at 10:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品偽装

2008年10月26日

食品の安全報道の有り方

中国産冷凍インゲンマメで健康被害が出たニュースは非常にセンセーショナルに報じられた。

事件が起きてからほぼ3日間はトップニュースの扱い。
インゲンマメがどこで収穫され、どこで生産されて輸入されたかを詳しく伝えた。
2日目は、日本の株価が歴史上2番目の暴落率を示した日だったが、トップで圧倒的に時間を割いたのがインゲンマメ。

日本では、世界的な恐慌の現実化より、重要なのはインゲンマメだ。


麻生総理まで「(中国側に)善処を求めなくてはならない」といった発言をするなど、この間は日本の最大関心事となったといっていい。

しかし、「次々と健康被害を訴える」人が出てきたが、ほぼすべてがインゲンマメ製品とは無関係であることが判明。
結局被害者は最初の一人だけで、ジクロルボスが検出されたのは、その時の一つだけだった。


これに対し、カップヌードルから防虫剤成分が検出され健康被害が出たケースは非常に抑制的な報道となっている。

初日からニュースの最後のほうだ。

既に全国で21件の検出事例が確認
されており、どこまで広がるかわからない問題であるにもかかわらずである。

しかもインゲンマメは全面回収だったが、カップヌードルは同じ製造日の製品だけの回収。


これらインゲンマメとカップヌードルの報道姿勢の違いは、
ひとえに中国産から国産からの違いによるものに違いない。

インゲンマメの時はことさら「またも中国産」という言葉が強調され、他の中国産食品の問題とからめて報道された。

「街の声」も”ニュース作成者が伝えたい内容”を語った人、
つまり中国産の不安を口にする人の声ばかりに時間を割かれた。

しかし、検出されたジクロルボスは日本でも広く販売されているため、日本での混入の可能性もかなり出てきたせいであろう、ニュースが急に下火になった。

中国産なら徹底的にたたき、国産なら平静な報道になる。



食品への異物混入事件は日本でも頻繁に起きている。
ごく最近だけでも・・・

パンなどへの針の混入は札幌で十数回起こるなど全国で起きている。
茨城県では、茶碗蒸しに毒を入れて家族を殺害したとして、孫が逮捕された。
北海道では給食に出されたエゾシカの肉の中から、ライフル弾の破片が見つかった。
東京ではスーパーを脅迫するために、焼き鳥のタレに除草剤を混入させた者が捕まった。
伊藤ハムでは汚染された地下水を使用して製造していたために、多くの製品が自主回収となった。

マスコミの報道姿勢は、恣意的に中国産をたたき、優越感にひたっているとしか思えないブザマなものだ。

冷静な分析や全体を見ることもなく、いつも扇情的、情緒的に行われる。

結果として、間違った民意が形成され、大きな経済的損失と、国際的な失笑と軽蔑を受ける”勘違い”を生む。


中国が劣っている面があるのは確かだが、日本に来ている食品が安全な部類に入ることは少し考えればわかること。
国産食品で毎年何人も死んでいるが、中国産では一人として死んでいない。

日本でのサンプリング検査、アメリカでの輸入通関統計、どれをとっても国産が優秀である証拠はない。
むしろ中国産が上である。

この国を”ガラパゴスニッポン島”にした最大の責任はマスコミにある。
posted by ebochin at 21:29| Comment(0) | TrackBack(6) | 食品の安全

2008年10月22日

”誤解だらけの「危ない話」”

世の中のリスクを語った本のほとんどが、非科学的に恐怖を煽ったものか、現場・現状を知らない空論ばかりを披露するものです。

その中にあって、僕が自信を持っておすすめできる本が出版されました。

これです。↓

誤解だらけの「危ない話」
著者;小島正美(毎日新聞編集委員)
エネルギーフォーラム


著者である小島さんは、長年マスメディアで情報を発信する立場
におられた方ということで、
現在の世間の誤ったリスク認識がなぜ起こったのかということを、メディア側の立場から分析
しています。

特に、本人自身が6年ほど前までは、正義感や勉強不足から、
不安を警鐘する記事が良いものだと信じて、それを書いていたと語っているだけに余計説得力があります。

解説しているリスク項目としては、
食品添加物、遺伝子組換え、BSE,電磁波、中国産食品、水銀、タミフルなど多岐にわたっています。

本ブロクは”うなぎ”ブログなので、それについて書かれていた部分を引用させていただきます。


=====ここから

日本の消費者は中国産ウナギを危ないと思っている。
(中略)例えば、養殖密度を比較してみよう。台湾や中国のウナギの方がはるかにゆったり飼われている。抗菌剤などの検査態勢も台湾、中国の方がはるかに充実している。日本国内でも自発的なサンプル検査はしているが、検査項目は少なく、権威検査が中心のため、検査体制の厳しさでは台湾や中国にかなわない。
なぜ、中国の方がゆったりと飼えるのか。土地代が安いからだ。3.3平方メートルあたりのウナギの数は中国では約12〜15尾と少ない。これに対し、国内では約180〜250尾と10倍も密だ。えさも中国では価格の高いスケトウダラの魚粉を使うのに対し、日本は安いイワシやアジなどの魚粉を使う。
にもかかわらず、蒲焼になると国産は1キロ約5000円なのに対し、中国、台湾産は約2000円と大きな差がある。日本の消費者は品質の良い中国産を安く買えるのに、危ないと錯覚して、あえて価格の高い国産を買っている。これはささいなリスクを過大視する不安行動がもたらす経済的な損失でもある。

=====ここまで


メディア報道の裏側を読み解くうえで、さらには世間のウソの常識にだまされないようにするために、非常に有効な素材を提供してくれる本です。


消費者が「危険」と信じ込んでいる様々な項目を、
「危険ではない」ということを既に前提として書かれているので、
少しレベルの高い本です。

しかし、非常に読みやすく書かれていますので、どなたにもおすすめできます。
posted by ebochin at 08:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全

2008年10月14日

「食糧危機」はウソ



僕は、消費者が主体的立場で、日本の農業を守るため或いは日本の経済のために、日本の自給率を向上させようとすることに反対する理由はない。

ご飯をたくさん食べるようになれば自給率向上につながるが、
そうなれば日本の固有の文化が継承されるし、健康にも良いことになる。

しかし、現在行われている自給率向上の運動は、明らかに
「食糧安全保障のため」といった錯覚の上に成り立っており、それが国家的な危急の目的であるかのように扱われているのが大きな問題だ。

最近なって、このような主張をしているのが僕だけではないのがわかった。

今回のブログの題名は、明治学院大学の神門善久教授の「週刊新潮」(10月9日号)での題名
”「食糧危機」はウソ〜「自給率を上げよ」はまやかし〜

から拝借させてもらった。

神門教授は、他にも日本経済新聞の「経済教室」にも寄稿され、
「食糧自給率向上は的外れ」といった論文を出されている。

僕が今まで目にしてきた学者を含めた専門家と称する人たちが、
こぞって稚拙な論理を展開して危機を煽っている中にあって、神門氏の存在は一筋の光ともいえる。

「少数意見ほど正しい」
「反発の多い意見ほど価値がある」
といったことが多いので、僕一人だけの意見でもそれはそれでいいのだが、やはりこういう人の存在は心強い。

神門氏の記事内容は僕が今まで主張してきたことと非常によく符合するので、詳細はここでは省略する。

象徴的な一文だけをご紹介すると、

『(仮に食糧自給率100%にしても安心できないのは)1993年に日本で体験した大冷害の経験からあきらかである。コメの輸入を原則として禁止していた当時の日本は、この大冷害がもたらしたコメ不足に対して慌ててコメの緊急輸入を発動した。ところが、普段の取引がないためにコメ輸入のノウハウや設備に事欠き、見当違いの品質のコメを海外で買いつけてしまい大量に売れ残ったり、(中略)混乱をきわめた。さらに「苦しいときだけなりふり構わず輸入する日本」として、国際的にも失笑をかってしまった。』

そして日本がめざすべきは、食料自給率の向上ではなく、
『食料の安全確保に向けて、相互に輸入・輸出しあう構造を構築し、農産物貿易の厚みを増すことだ』



何事も「危険でない」と主張するためには、あらゆるすべてのリスクを考え解説しなくてはならないので大変な作業になる。

「危険である」はたった一つの事象を、将来の可能性として解説するだけでいいので簡単だ。


今後は神門氏のように、その大変な作業をやる人が増えてきてほしいものだ。
posted by ebochin at 08:45| Comment(0) | TrackBack(1) | 食品の安全

2008年10月11日

食糧危機を唱える人々



世界的な食糧危機に警鐘を鳴らし、日本は食料安全保障のために自給率を上げるべき、というのが知識人と呼ばれる人たちの、一般的主張だ。

世論もその通りに動いている。

最近出版されている書籍の中で目立っているのが、丸紅経済研究所所長・柴田明夫氏が書いた
「飢餓国家ニッポン」〜食料自給率40%で生き残れるのか〜

この方は、過去に「食糧争奪」「資源インフレ」など類似の本を出版している。

僕は「食糧争奪」と「飢餓国家ニッポン」を拝読させていただいたが、内容的には非常に似通っており、まさに題名そのものの内容になっている。

結論からいうと、呆れた内容と言わざるを得ません。

「飢餓国家ニッポン」で、何度も繰り返している言葉が、
”転ばぬ先の杖を100mも200mを先につくべき”

この比喩は非常に的確ですが、僕には矛盾としか思えません。

なぜなら、転びそうになるときに、100mも200mも先に杖があっても意味がない。 肝心の時に役に立たない杖にコストをかけるほどムダなことはない。

もしこんなことが許されるなら、では1キロも2キロも先に杖をつくのも許されるのか?作れば作るほど良いというのだろうか?

コスト意識が全く感じられない発想
のように思う。

また、食料危機に関して、
「おにぎり1個が300円になる日が来るかもしれない。そうなれば日本にも餓死者が急増する。」

僕の意見は、
「あり得ないことに怯えて、おにぎり1個100円で食べれるものを150円にするべきではない。」

また、同氏は
「今起きているのはパラダイムシフトであり、穀物だけでなくて他の食糧、原油、鉄鉱石、非鉄金属などあらゆるコモディティが上がっていくと予想している」

全く驚きの予想である。

見識を疑わざるを得ない。

前回も書いたが、あらゆる商品にはマーケットメカニズムが働くわけで、それが働かない理由など現在のこれらの商品にはない!

147ドルまで上がった原油相場がここ3か月で88ドルまで下がったが、それがまた元の高値に戻すという理由があるのなら、ぜひ聞きたいものだ。

本の表紙帯に大きく書かれているのが
「食糧輸入が途絶えれば7000万人の食べ物がなくなる!?」

一介のジャーナリストならいざ知らず、地位のある方がこのような「売らんかな」発想としか思えない本を出すことに驚きを感じる。


食糧不足になる恐怖は全く感じないが、誤った情報ばかりが氾濫することに恐怖を覚える。
posted by ebochin at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全

2008年10月03日

メラミンとメタミドホスのリスク



「食品安全委員会」は、内閣府のもとにおかれている食品のリスク評価を行うための機関です。


各省庁からは独立していることから、客観的、公平に行うこととされ、現在日本で食品のリスクを調べるうえで、最も信頼がおけると判断できます。

その食品安全委員会が、最近の食品事件に関し、非常に明確なリスク評価を行っています。

まず、中国で乳児死亡者を出し、日本でも丸大食品の菓子から検出されたメラミン。
食品安全委員会のメラミンのリスク評価

内容は簡単に言うと、最もメラミンが多く検出された
「クリームパンダ」でも体重50kgの成人がそれを毎日17個、一生涯食べても、健康被害が起こらない量だったということ。


次に三笠フーズなどによる事故米のリスク評価。
この事件では、主に農薬のメタミドホスと、カビ毒が問題になっているが、まずメタミドホス。
事故米におけるメタミドホスのリスク評価

要約すると、今までに検出されたメタミドホスの数値から計算すると、一度に(24時間以内)に食べて害が起こる量は、体重50kgの人で2.5kg。(お米17合分)
そして、一生涯毎日食べても害がない値は、体重50kgの人で1日500g。500gは平均的な日本人の消費量の3倍なうえ、事故米だけを食べ続けることは考えられないので、心配はいらない。


ここまでは、非常にわかりやすく明快なレポートで素晴らしいと思います。

しかし、僕にとって、いや日本国民にとって最も興味をもたなくてはならない、カビ毒に関しては急にトーンダウンします。というかリスク評価自体行っていません。
カビ毒、アフラトキシンの概要

実は、アフラトキシンは、食品から検出されてはならない物質とされているため、基準値はありませんでした。
今回の事件を受けて、ようやくどの程度の量を摂取すると健康被害が起こるかを検証することになったといいます。

このことは非常に示唆に富んでいます。

第一に、危険と思われている「化学物質」「農薬」「抗生物質」などはリスク評価がきっちり行われているのに対して、カビ毒のような「自然物」はリスク自体が調べられていない。
しかも化学物質は自然に増えないが、自然物は自然に増殖する。
だから、自然物の毒性にこそ注意を払うべきである。

第二に、日本にとってメラミン問題より事故米問題のほうがはるかに深刻であること。

なぜなら、現状ではメラミンの健康被害が起こる可能性がほとんどなくなったのに対し、まだ消費されていないカビの生えた事故米が通常の食品として存在している可能性が高いからだ。

ここ数日はメラミンの報道のほうが中心になっている。
中国国内はもちろん、ご丁寧にインドネシアや韓国での状況まで詳しく伝えている。

しかし、私たちは中国を批判するのに陶酔している場合ではない。

事故米問題は、食中毒が身近に迫っている可能性がある。
さらには、日本人として特別の郷愁や思い入れがある主食のお米に対してなぜこのような大規模な詐欺事件が長年にわたり放置されていたのか、という問題を明らかにして、解決していかなくてはならない。
posted by ebochin at 07:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全

2008年08月29日

愛媛の会社のウナギ産地偽装


また、ウナギの産地偽装が発覚しました。

概要は、愛媛の「サンライズフーズ」が産地不明の蒲焼に「愛媛県産」と表示して販売したこと。

さらに、「国産」と表示した蒲焼も農水省は、中国産蒲焼を社内で詰め替えた可能性が高いと見て調べているとのこと。

「サンライズフーズ」の蒲焼の多くは、築地市場最大手の「中央魚類」に出荷され、スーパーなどで販売されていました。


以下、読売新聞の掲載された内容を引用します。

「サンライズフーズ」から仕入れた蒲焼の量は、「中央魚類」が扱う蒲焼の7割を占め、昨年度の築地市場で扱われた全蒲焼(3320トン)の約2割(約645トン)に相当する量だった。

サンライズ社の工場に勤める従業員は読売新聞の取材に、「生きたウナギはほとんど見ない。蒲焼が乗ったトレイの包装をはがし、別のトレイに乗せてラッピングし直している」と証言。取引業者も「サンライズ社の工場でみるのは”中国産”と書かれた段ボール箱ばかり」と話す。

====ここまで

僕から言わせると、「ようやく本丸にたどりついたか」といったところ。

もうすでに5〜6年ほど前から、怪しいということは業界の常識でした。

なぜなら、常にありえないような安い値段で製品が出続けていたから。
さらに、出荷量に見合うほどの大量の活鰻が購入されている形跡がないこと、実際に活鰻をさばいて生産している形跡にとぼしいことなど、あらゆる条件が偽装を裏付けていました。

ちなみに、5〜6年前には福建省のうなぎ工場の蒲焼製品が数百トン単位で、松山揚げされていました。
通常は関西の場合、消費地である大阪に荷揚げされるものなので、これは極めてイレギュラー。
その荷物がどこに行ったかも調べる必要があります。

その中国の工場の社長は”特需”にのっかりご満悦でした!


「サンライズフーズ」には4年ほど前には行政検査が入ったのですが、その時は何も出ずじまい。
このとき、行政の業者との癒着や「ナーナー検査」を疑ったものです。

そのような経緯を考えると、よくこれだけ長年、放置されていたものだと思います。
もう昔の証拠などは残っていないでしょう。


そして主要取扱い業者の中央魚類。
築地最大手で東京2部の上場企業。

業界の誰が見ても、誰が判断しても、偽装の疑いが濃厚だった製品を販売し続け、大量に扱い、多額の利益を上げていた。(に違いありません)

それを「知らなかった」「だまされた」で通すのは無理があります。

もしかすると、「知っていた」とする物的証拠は出ないかもしれませんが、それで逃げおおせてヤリドクを許すようであれば、永遠に食品偽装に歯止めなどかけられないでしょう。

昨年から食品偽装が社会問題化し、ウナギの偽装も次々と摘発を受ける中、今の今まで公然と販売していた中央魚類の罪は非常に重く、サンライズフースに匹敵します。

さらに、明らかに安い、怪しい”国産”を仕入販売していたスーパーも大問題。
表面とは裏腹に、儲かるものなら何でもやる、責任さえ回避できればOKといった体質を表しています。

特に国産のメインをこの製品でまわしていたスーパーは少なくとも同義的責任は免れません。


そして消費者。
中国産を避け、「国産」の中から最も安いものを選んで買った人も多いことでしょう。
この手のものがよく売れるんです!
国産の中では安いといっても中国産の2倍ぐらいはしていました。

それがかなりの高い確率で、原料が中国産、もしくは中国産蒲焼の詰め替えであることがはっきりしてきました。

怒るべきことなのは当然です。

”安いだけの中国産”に「騙されまい」と気を配って買った結果、高い値段を払って中国産を食べていたことになるわけですから。


ウナギの産地偽装は非常に裾野が広いため、なかなかこれで終わり、ということにはなりません。
「魚秀」の問題も未だに関係会社(被害者を含め)を事細かに捜査中。

「迅速に」そして「モレなく」調べ、腐りきった業界のウミを早く出してもらいたいものです。
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2008年08月16日

国際的認証機関による証明の真実


工場の衛生面や管理基準を示す指標として、最も権威があるとされているのが、
HACCP(ハセップ)やISO。

HACCPの目的は、「食品の製造工程において発生する危害を分析し、その危害を抑え込む方法を決め、その方法を継続的にチェックすることにより、不良製品の出荷を未然に防ぎ、安全な食品を作ろう」とするもの。

ISOは「国際標準化機構」の略称で、
その目的は、
「物資及びサービスの国際交換を容易にし、知的、科学的、技術的及び経済活動分野の協力を助長させるために世界的な標準化及びその他関連活動の発展を図ること」
簡単にいうと、製品や仕組みを評価する国際規格。

これらは認証制度を取っており、取得していることは信頼の証しとされている。

しかし、これら認証制度には大きな矛盾をはらんでいる。

認証をする機関は基本的に民間企業だ。
だから、どうしても営業面が優先的になりがちだ。

特に、ISOの認証ではアジアを中心に不十分は認証制度が横行し、規格の有名無実化が進んでいると懸念されている。
企業によるデータのねつ造、認証機関との癒着、審査の甘さなど多くの問題をはらんでいる。

認証機関は認証数が拡大しなくては、業績が伸びない。
取り消しが増えると、むしろ業績は落ちる。
結果として安易な審査で済ますという構図だ。

ISOを取得していた不二家が消費期限切れの原材料を使用した菓子を販売していたり、ネズミが多く発生している工場だったということがあった。


これら認証制度が全く無意味とまで言えないが、
「認証があるから安心」
と思いこむのは危険だ。

国際的認証機関の証明でも疑わしい面が少なくないのだから、他の任意団体の証明の信憑性など語るまでもないだろう。
posted by ebochin at 15:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品の安全